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2023.12.24

館蔵品展 砺波市美術館 コレクションにみる写真 について 末永 忠宏

 砺波市美術館では「国際的に評価できる写真作品」を集めるという収集方針を立て、著名写真家の写真展を収集してきました。1996(平成8)年、ロベール・ドアノー作品40点の購入から始まった当館の写真コレクションは現在、485点となっています。今回の館蔵品展はこのコレクションに着目しました。本展で展示する3人の作家を紹介します。

 

 ジャック=アンリ・ラルティーグ(1894-1986)は、フランスの裕福な家庭に生まれました。7歳のとき父親からカメラを与えられています。幸せな時間がすぐに目の前から消え去ってしまうのを恐れていたラルティーグは、そうした瞬間を残せるカメラという新しい魔法の機械にたちまち夢中になり、身近な愛する人たちや日々の生活を撮影しました。無垢な心で写真を楽しみ、過ぎゆく時間や人生の歓びを捉えようとしました。

 

 ロベール・ドアノー(1912-1994)は、フランスの写真家です。1940年代の終わり頃からパリの街角に出て市井に生きる人々の写真を撮り始めます。愛用の二眼レフカメラのローライフレックスを「なんと礼儀正しく、慎み深いことか」と評しました。これは撮影するときに身体の中心で構えるため、背中を曲げ、まるでお辞儀をするような格好で被写体に敬意を払っているようになってしまうことを言っています。人びとが織りなす多様なドラマを鋭い洞察とユーモアに満ちた感覚で撮影しました。

 

 髙道 宏(1936-2016)は、砺波ゆかりの写真家です。幼少の頃から芸術に関心を寄せ、川辺外治から洋画を、国画会写真部で活躍した叔父の髙道夕咲人(ゆうさくじん)から写真の手ほどきを受けました。「ファミリー・オブ・マン」写真展で見たウィン・バロックの作品に「絵画表現とは全く違った強い力があることを感じ」て、写真家を志します。日本の樹林や湖沼、川の流れを自らの豊饒な感情を込め自家製印画法で表した「自然」シリーズは、文字通り髙道のライフワークと言えるでしょう。展示ではこの「自然」シリーズより、晩年に取り組まれたプラチナ・プリントを紹介します。

 それぞれの美意識が印画された、味わい深いモノクローム写真71点をお楽しみください。 

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